5月26日、別府温泉で知られる大分県別府市で、世界で初めてとなる「世界温泉地サミット」が開かれた。
海外から16カ国(アメリカ、チェコ、ドイツ、フランス、ハンガリー、スペイン、アイスランド、イタリア、イギリス、ヨルダン、ニュージーランド、タイ、モンゴル、中国、韓国、ベトナム)、国内は75自治体と団体・企業および学会関係者らが参加。総勢約千人で、県外から約300人、海外から約100人が集った。
25日は環境省主催の「全国温泉地サミット」、27日は別府市内の観光地や中津市・耶馬渓などを巡るエクスカーション、また26~27日には世界温泉地観光物産展も開催され、別府市はこの3日間、温泉イベント一色に染まった。
中川雅治環境相は「サミットの第1回開催地として、(大分県が)歴史に名を残すだろう」とたたえが、日本の温泉の歴史を考える上で、大きな一歩となったことは間違いないだろう。
サミットのテーマは、「世界の温泉地が拓く地域発展の可能性~温泉がつなぐ地域資源の多様な活用方法」。国連世界観光機関(UNWTO)でサステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)
を推進してきたスペインのヨランダ・ペルドモ氏の基調講演のほか、「観光」「医療・健康・美容」「エネルギー」の3テーマで分科会があり、論点を掘り下げた。
サミットを通じ、温泉は観光や医療、健康、美容、エネルギーの各分野においても有益な資源であることが再確認された意義は大きい。「総花的」という厳しい意見もある一方、「開催することに意味がある」と評価する向きも。
サミットは、(1)世界の温泉地発展への貢献(2)温泉と観光振興(3)温泉の医療・健康・美容への利用(4)温泉のエネルギー利用(5)サミットの継続―を盛り込んだ「宣言」を採択、世界にアピールするとともに、実践することを表明した。
(5)では「世界の温泉地のリーダーが継続的な情報共有や議論をするため、サミットの開催を継続していく」とうたった。
理想をいうなら毎年開催が望ましいが、事業資金の確保、会場や宿泊施設の選定・確保など、もろもろを考えると実現は容易ではない。今回のサミットに関しては、県は2年前から準備を進めてきたと聞いている。
いずれにしても、隔年にしろ、3~4年に一度にしろ、定期開催し、温泉の新たな活用策を世界規模で考える場はあっていい。サミットの性格上、持ち回りでの開催が順当なのだろうが、温泉大国・日本が積極的に手を挙げ、温泉の国際会議の場としての日本を主張してみてはどうか。
温泉のさらなる活用策を話し合った「世界温泉地サミット」。継続開催を望む声もある